2024.08.01
書くことで伝える/龍さん・零さん 🍒だより8月号●あの日からはじまった/オレの人生をどうか聞いておくれ/小さなころか
らぼくはよわくて/いつもいじめられた/たくさんたくさんわる口言われ/
かげでこっそりないてた/(中略)ぼくの中のとけい/もういやだ/だれも
しんようできないオレのこころ/本当はみとめてほしかった
(「ぼくの中のとけい」より)
心の声を言葉にノートをびっしり埋めていく、川崎教室の龍さん。小さい頃から好きな歌の歌詞を写すようになり、高校生になって自作の詩を書くように。
「僕は言葉で直接伝えることは苦手だけれど、書くことが好き。
ノートにならいくらでも書けるんです」
と大切なノートを見せてくれました。好きな神話やアニメをモチーフにして小説や歌詞のように、普段は言えない気持ちを詩で表現しています。いま就労に向けて準備中の龍さん、かばんの中にいつもノートを入れ、毎日頑張っています。
(お母さまより→)小学校4年生で川崎教室に通い始めた頃は作文は苦手で
「いつ」「だれが」のメモを作って練習していました。中学生の頃は「みん
なと同じことが思うようにできない」と思春期の悩みも経験しましたが、そ
こを自分で乗り越え「オレはオレだ!」と思えるように心が成長していきま
した。いつも朗らかで決して人の悪口を言わない彼を、家族も尊敬していま
す。ノートはあまり見せてくれないのですが(笑)、彼の良さが活かせる仕事と
出会えるよう見守っていきます。
●「僕の大切な人がまた消えた」・・・現在ミステリー小説を執筆中なのは川崎
教室の零さん。高校生で書いた作文をきっかけに自分でも小説を書くように
なりました。「語彙力をつけるために本もたくさん読みます。現実世界を覆
すような話を書きたいんです」と、丁寧な文字で綴られた書きかけの小説を
見せてくれました。S君は高卒後に就職して2年目。現在は一人暮らしで、
「今朝は炊き込みご飯を作りました」と家事もカンペキ。「いつか大工にな
りたい」という夢があります。「大切な人」はどこへ・・・?ミステリーの展開
が楽しみです。
●夏休みに入り各教室で賑やかにサマースクール開講中。いま「めんどくさ
いな~」と苦戦しながら漢字や文章を書いているみなさん、いつか「書く」
ことが趣味や生活の一部になっていきますよ。だからこそ、楽しく練習した
いものですね。さくらんぼ教室の学習メソッドが2冊の本になります。
『発達が気になる子の“できる”をふやす国語』『同・算数』
(10月8日発売/Gakken)。
猛暑が続きますが、素敵な夏をお過ごしください。(伊庭葉子)